僕はいつまでこの作業を繰り返すのだろう?
2001年 木戸隆行著
僕はいつまでこの作業を繰り返すのだろう?一体どんな条件が、巨大な終止符となって僕の目の前に立ち上がるだろう?御飯は炊き上がってから一時間してかきまぜていたが、それではおいしくならないことが判明した……僕は一体何を目指しているのか?大雑把に区切って、僕は作家なのか詩人なのか、そのどちらでもないのか、いまだかつて分かった試しがない。彫刻家?ハンマーと頑丈な鉄の杭を握り締め、形を石から解放する、これは誰の言葉だったのか、もう思い出せそうにない。レオナルドダヴィンチ?そうだ、彼の夢は潰えたのではなかったか?来るべき世紀に向けて、夢は次々に潰える!!!夢とは果たして何だったのか?芸術が芸術であったことがかつてあっただろうか?それがもうそろそろ証明されそうだ。淫乱な考えが頭をもたげてくるように、いつしかクジラの巨大な頭がパシフィックオーシャンの波間からあらわれるだろうか?今日はやけに?が多い。ドチテ坊やの日なのだ。泡沫の疑問が次々に現われては弾ける。まるで残像のないダンスホールそのものだ。めくるめく芝居が舞台で上演され、その中の青年が一人だけ、僕の魂に迫ってくる。彼の声は艶のある、遥かアンドロメダ銀河まで突き抜ける声だ。ああ、日々の単調で実に誤差の少ない生活に今更ながらに驚きを覚える。ゴミ箱の中身は日々満たされて行き、そしていつのまにか空になっている。僕じゃない、僕が捨てたわけじゃない。誰か……そう、誰かなのだ。僕以外の誰かが無数にこの世に存在しているはずなのに、僕はそれを恐ろしく無頓着に感じていない。僕が今叩いているキーと中東の石油プラントとの間には、たしかに何かが存在している。井戸を覗き下ろすときに見える、あの真っ暗闇の中の何か。深夜の校舎でうごめく何か。僕が決定する今を作り上げてきた、膨大な数の何か。何体ものモニュメントがじりじりと迫り来る。それは僕を取り囲む。そしてすっかり取り囲んでしまうと、それらは一斉に外側に向かって倒れながら、頭上の丸く空いた空を押し広げていく。──ああ、まただ。空しかない。空はカラ、つまりなにもないということから来ている。禅だったかその辺りの概念で、天と地との間の、何もない空間が空、つまりカラなのだ。……もうやめたい、こんなに苦痛な文は、今すぐに、今日のところは。